芝居が段取りに聞こえる。本人も自覚がある。でも直し方が分からない。
これは演技力の問題ではなく、処理の問題であることが多いです。
隙間が0.2秒を超えると、段取りに聞こえる
現実の会話は、およそ0.2秒の隙間で回っています。
ここが大きく超えてくると、会話ではなく順番待ちに聞こえます。
聞いている側は、内容ではなく構造として違和感を受け取ります。
さらに、その遅れには意味が乗ってしまいます。
・ためらい
・拒否
・何かトラブルが起きた合図
言いたくないことを言わされている人のように見えます。
本人は普通に喋っているつもりでも、そう届きます。
原因は「何だったっけ」
なぜ遅れるのか。
セリフに不安があると、頭の中の作業領域が「何だったっけ」に占有されます。
作業領域には限りがあります。
セリフの検索に使ってしまうと、相手の言葉を予測する分が残りません。
予測できないので、相手が言い終わるまで安全に待つことになります。
待った結果、隙間が0.2秒を大きく超えます。
これが段取りに聞こえる仕組みです。
だから「気持ちを込めて」では直らない
この状態の人に感情の指示を出しても、事態は悪化します。
意識することが増えるほど、作業領域はさらに圧迫されます。
硬さは癖ではなく、注意の向け方の問題です。
やるべきことは逆で、意識する量を減らすことです。
直す順番
1. セリフを自動化する
「思い出せる」では足りません。勝手に出てくるまで落とします。
ここまで来ると作業領域が空きます。空いて初めて、予測に回せます。
覚え方の目安は、別のことをしながら言えるかです。
歩きながら、階段を上りながら、誰かと目を合わせながら。
それで出てくるなら自動化できています。
2. 相手のセリフで息を吸う
自分の番の直前に吸うと、間に合いません。
相手が喋っている最中に吸っておきます。
これで発射の準備が終わった状態で待てます。
3. 意味に反応して入る
言葉の切れ目を待つのではなく、意味が完成した瞬間に入ります。
相手がまだ喋っていても、意味が届いた時点で返せます。
現実の会話はそうなっています。
稽古での確かめ方
録音して聞き返してください。
自分の耳で聞いているときには、0.2秒と0.6秒の差はほとんど分かりません。
録音だとはっきり分かります。
遅れているのが特定の場面だけなら、そのセリフに不安があります。
全体的に遅いなら、まだ自動化が終わっていません。
まとめ
・隙間が0.2秒を超えると段取りに聞こえ、ためらいや拒否として届く
・原因はセリフへの不安が作業領域を占有すること
・感情の指示では直らない。意識する量を減らすほうへ動かす
・セリフは勝手に出るまで落とす
・息は相手のセリフの最中に吸っておく
・言葉の切れ目ではなく、意味の完成で入る
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