皆さん、こんにちは!天文座です。
今回は、座長・森本と古谷陸のラジオ「星の2人ごと」第5回の内容から、私たち天文座の現在の活動、役者たちの目覚ましい成長、そして今後の画期的なプロジェクトについてお話しさせていただきます。
久しぶりの収録と嬉しいエピソード
久しぶりに収録を行った「星の2人ごと」第5回。天文座のYouTubeチャンネルで配信している私たちのラジオを聞いて、なんと北海道からリスナーの方が会いに来てくださいました!
森本の両親が泊まっていただいたその方と、そのまま朝3時まで語り合ったという素敵なエピソードもありました。
古谷陸は最近体調を崩し気味でしたが、「天文座に来ると元気になる」と語ってくれています。私たちにとっても、こんなに嬉しい言葉はありません。
「ビューティフルライフ」稽古での発見
この日のワークショップでは、名作「ビューティフルライフ」の演出に参加しました。特に脚本の素晴らしさには改めて感動し、古谷陸も「キュンキュンしちゃう」と表現していました。これは以前のエチュード(即興でボディランゲージを使ってラブシーンを作る練習)に似た感覚だそうです。
新しい才能の発見
新しい才能にも注目が集まっています。
- カンカンさんは「あんなにかっこいいなんて」と絶賛
- 新人の矢次くんについても「良かった」「美容師」「男前」「声がいい(響く、通る)」「体が大きく、ガタイもいい」と多方面から褒められ、舞台映えする存在として評価されています
役者の自己理解の深化
興味深いエピソードとして、古谷陸が主人公の修二役を提案された際、「どう考えても修二じゃない」「コメディになっちゃう」と感じ、お断りしたということがありました。これを森本は、古谷陸がバイオリンで修二がチェロという楽器の違いに例えて説明していました。
承認欲求を超えた自己実現への成長
今回の稽古で森本が最も感動したのは、俳優陣が「お客さん視点に立てるようになった」ことです。
成長のプロセス
以前は主役やセリフの多い役を演じたがっていた俳優たちが、今では「自分ではその音は出ない」と自己判断できるようになりました。これは「自分の求められている役割を認識し始めている」証拠であり、大きな成長の表れです。
この成長は、「離見の見」や「メタ認知」といったスライドを使った講義の成果だと分析しています。俳優たちは「承認欲求」を満たす段階を超え、自己実現のフェーズに入っているのです。
つまり、自分が何をどういう役割で全うすればお客様が喜ぶのか、という視点に立てるようになり、主人公以外でも皆が生き生きと演技しています。
具体的な事例
例えば、古谷陸が主人公の修二役を演じても「キュンキュンはしなかった」だろうと古谷陸本人が語っており、古谷陸がゲイであることを観客が知っている前提があるからだとしています。
ちなみに、古谷陸の今回の役は「お調子者のムードメーカー」、名前はサトルで、テレビドラマ版では西川貴教さんが演じた役にあたります。森本は西川貴教さんの俳優・声優としての実力も高く評価しています。
脚本家・北川悦吏子さんへの敬意
「ビューティフルライフ」の脚本を書いた北川悦吏子さんについて、森本はブックオフで108円のシナリオ集を読んで涙が止まらず、脚本家を目指すきっかけになったと明かしています。北川悦吏子さんは「半分、青い。」のメイン脚本家でもあり、その才能に驚きと称賛を寄せていました。
9月公演「あなたが書くまで何も始まらない」への挑戦
私たち天文座は、9月14日(日)に開催される公演「あなたが書くまで何も始まらない」で、また新たな試みに挑戦します。
観客参加型の新しい試み
今回のコンセプトは、観客が単に芝居を見るだけでなく、「お客様も参加できる体験型」に焦点を当てています。ただの参加型ではなく、「物語がベースにあって、お客様が参加することによってプラス50点、いや100点稼げるような作品にしたい」という強い思いがあります。
構想から実現まで
この構想には5月から7月までの3ヶ月を要しました。本番中にお客様に脚本(物語)を書いてもらうフェーズがあり、お客様の昔のあだ名などを録音し、それを音響で加工して本番に間に合わせるという、裏方にとっても非常に困難な作業も予定されています。
森本(音響担当)は「終わった後死んでる」「光ってる」と過酷さを表現していました。
次への展開
集めたお客様の物語は、次回のイマーシブシアター公演で実際に使われる予定です。これにより、「あなたが書いたから始まったんですよ」「お客様が紡いだんですよ」という、観客と作品が一体となるような流れを生み出したいと考えています。
制作体制
今回の公演の制作陣は:
- 照明:はるなさん
- 制作:立山さんと森本
- 音響:みささんと森本
出演者は20人以上(約25人)になる予定で、オーディションも行いますが、基本的には森本のキャスティングで行くとのことです。今の俳優陣は、セリフの量で文句を言う者はおらず、与えられた役割を全うできると信頼されています。
驚きの公演スケジュールと成長の軌跡
森本は「本番は少なくない」と断言します。
今後の公演予定
9月のアプラ公演の後も:
- 10月 (アナザー公演二作品)
- 11月(ぽんきち)
- 12月(ピッコロ)
- 1月(高槻)
- 3月(倉庫)
- 5月(ピッコロ)
とすでに公演が決定しており、2月にも追加公演が入る可能性があります。
成長のための投資期間
特に注目すべきは、公演が少なかった6月、7月、8月の期間を、俳優たちの「成長の時間」に充てたことです。この期間、天文座では毎日ワークショップが開催され、その内容は「一番密度が高い」と古谷陸も評価するほど濃密でした。
劇的な成長の成果
ワークショップでは、知識のインプットだけでなく、それを実践する「アウトプット」に重きが置かれました。その結果、俳優たちの成長速度は**「えぐい」**ほどで、セリフが流れやすくなり、サブテキストを理解し、意図を読み取って覚えることで、セリフが点ではなく「川」のようにつながるようになりました。
世界レベルの演技指導の導入
世界的に有名な演技指導者や演出家の手法を日替わりで学び、彼らが共通して言っていた「感情を直接的に表現するのは違う」という教えが俳優陣に深く浸透。これにより、説明的な芝居がなくなり、ボディランゲージや目線でサブテキストを表現できるようになりました。
古谷陸は、今の俳優たちは「バージョン35くらい行ってる」と、その更新ぶりを表現しています。
11月の一大企画「演劇RTA(リアルタイムアタック)」とは?
森本は11月に「演劇RTA」という画期的な企画を計画しています。
RTA(リアルタイムアタック)の詳細
- 朝8時に集合し、その場で脚本を書き、演出も行い、セリフを覚える
- 10時間で30分程度の作品を作る
- 16時または18時に本番を迎える
- まさに時間との戦い
完全公開プロセス
- 観客はチケットを購入(配信やアトリエでの公演なので実質無料)
- 脚本はGoogleドキュメントでリアルタイムに共有
- 演出家と脚本家が分かれて作業
- 音響や照明もその場で担当者とやり取りしながら決定
- その様子はすべて配信される
まさに「リアルタイム」な舞台制作が繰り広げられます。
成長への確信
この企画は昨年も考えられましたが、当時のメンバーでは難しいと判断され延期されました。しかし、今の天文座のメンバーなら「絶対できる」と森本は確信しており、俳優たちが与えられた役割を全うできるという信頼に基づいています。
天文座の理念「アート・アズ・ビークル」:芸術は手段、お客様の幸せのために
私たち天文座は、これまでの「常に本番で切羽詰まっている」状況から脱却し、俳優たちの成長に時間を費やすことを優先するようになりました。
理念の核心
森本は「アート・アズ・ビークル(Art as Vehicle)」という理念を掲げています。これは、芸術が「何かをするための手段」であるという考え方です。
天文座にとっての「何か」とは、**「お客様を喜ばせること」**です。作品を作って終わりではなく、お客様に喜んでもらうことが私たちの幸せなのです。
将来への展望
森本は、演劇だからこそ人間として成長し、幸せになる道が見えると考えており、お客様が「楽しかった、明日も頑張ろう」と思ってくれることが何より嬉しいと語っています。
劇団を会社化し、俳優を正社員として雇用したいという目標も、この理念に基づいています。生活が守られれば、俳優はより多くのお客様を喜ばせるための時間を使えるようになり、質の高い作品作りに集中できるからです。
仕事への考え方
森本は、「嫌なことをしたくないための手段としての演劇」や「自分の好きなことだけして生きていきたい」という姿勢は仕事ではないと語り、仕事は人を喜ばせ、幸せにするためにお金をもらうものだと説明しています。
演劇の可能性を広げる
また、劇場に来られない人々(距離的な問題やハンディキャップを持つ人々)にも演劇を届けたいという強い思いがあります。昨年12月のクリスマス公演で結婚式を行った際、お客様に大変喜ばれた経験は忘れられません。
お年寄りや演劇に触れてこなかった子供たちに演劇を届け、彼らの人生が変わるきっかけになることを願っています。親御さんたちが、子供を劇場に連れて行けない悩みを抱えていることに対し、「喋ってもいい、動いてもいい」イマーシブシアターが天文座の次のフェーズになると語られました。
座長森本の過去と経験が示すもの:子供たちからの厳しい評価、プロ意識の芽生え
座長の森本は自身の過去の経験についても語ってくれました。
保育園での洗礼
劇団に入って間もない頃、滋賀県の保育園で舞台に出た際、子供から「おもんないぞ!」と正直な評価を受け、へこんだものの、これが貴重な経験になったと振り返っています。
小学生から学んだプロ意識
市民ミュージカル「劇団アプラ」に出演した際は、ダンスも歌も未経験で、小学4年生の女の子の先輩に「そこセリフ違うし、音外してるねん」と厳しく指導されたそうです。
その小学生は「アニー」のオーディションに出るような実力者で、息切れたシーンのために本番前までずっと走るなど、プロ意識の高さを見せつけていました。
人生を変えた出会い
これらの経験から、森本は年齢や先輩後輩のバイアスなく、相手の「お客様を喜ばせるために全力でやっている」という姿勢を尊重できるようになったと語っています。
また、タップダンサーのエディ先生やフィドル奏者の大森秀さんとの出会いも、彼の演劇人生に大きな影響を与えているようです。特に大森さんの曲が、森本が好きだった劇団キャラメルボックスの作品で使われていたことに縁を感じています。
これからも歩み続ける天文座
今回のラジオでは、天文座の俳優たちが「承認欲求」から「自己実現」へとフェーズを上げ、お客様の視点に立って最高の表現を追求している様子をお伝えできました。
9月の観客参加型公演や11月の演劇RTAなど、常に新しい挑戦を続ける私たち天文座。その根底には「演劇を通して、お客様に明日を頑張る活力を与えたい」という揺るぎない理念があります。
これからも皆様に愛される天文座であり続けるよう、一同精進してまいります。ぜひ劇場でお会いしましょう!
