稽古を、毎回録音しています。
3時間の稽古で交わされる演出指導、俳優同士の議論、試行錯誤。これらをすべて音声として残し、 AIツール(NotebookLM、Claudeなど)で文字起こしと要約を行っています。
なぜ記録するのか
理由は単純です。記憶は劣化するからです。
人は自分に都合よく覚えます。厳しい指摘ほど、時間が経つと角が取れて、要点のほうが先に消える。残るのは「何か言われた」という感触だけで、何を直せばいいかは残らない。
記録を見返すと、三か月前に言われたことを今また言われていることが分かります。悔しいのですが、それが見えるから直せる。見えなければ、また三か月後に同じことを言われます。
具体的な運用
やっていることは、それほど複雑ではありません。
1. 稽古の開始から終了まで、通しで録音する
2. 音声ファイルをAIツールに渡し、文字起こしする
3. 要約を生成する(その日の論点、指摘、決定事項)
4. 蓄積して、あとから検索できる状態にする
重要なのは4番です。残すだけでは意味がありません。探せる形にして初めて、過去の指摘を引き出せます。
記録が発信につながる
副次的な効果として、発信の素材が自動的に貯まります。
3時間の稽古には、必ず何か発見があります。その日は当たり前に流れていった一言が、あとから読むと記事になる。
実際、この記録から生まれた内容をX・TikTok・Instagramで発信しており、TikTokで2.6万回再生、Instagramで1.2万回再生といった反応が出ています。
記録は、上達のためのものであり、発信のためのものでもある。一つの作業が二つの目的を果たしています。
注意していること
ただし、記録したものをそのまま出すことはしません。
稽古では個人的な内容も語られます。誰がどこで詰まったか、何に悩んでいるか。これらは本人のものであって、公開してよい情報ではありません。
発信に使うのは、技術や現象の部分だけです。人物や出来事は持ち込まない。ここを曖昧にすると、記録という仕組み自体が信頼を失います。
どの分野でも使える構造
この運用は、演劇に限りません。
会議、面談、レッスン。時間をかけて話したことが、記憶だけに任されている場面は多いはずです。
上達を記憶に任せるのをやめると、伸び方が変わります。
劇団天文座は大阪・新大阪の稽古場で、毎日19時から22時まで稽古しています。稽古の様子はYouTubeでも配信しています。
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