稽古中、演出からこう言われることがあります。
「次の階段は、知識でできている」
感性や勘でやれるところまでは、比較的早く到達します。問題はその先です。そこから上に行くには、調べるしかない。
具体的に何を調べるのか
たとえば、登場人物が川に飛び込む場面があるとします。
このとき必要なのは、演技の技術だけではありません。
・その川の水温は何度か
・流れの速さはどのくらいか
・底は砂か、石か
・その季節に、その地域の人は川をどう見ているか
・飛び込むことは、そこでは無謀なのか日常なのか
これらを知らずに演じると、「飛び込む演技」にしかなりません。その人がその川に飛び込む、という具体性が出ない。
知識がないと、抽象に逃げる
情報がないとき、人は一般化します。
悲しい場面だから悲しそうにする。危険な場面だから怖がる。どの作品でも通用する演技になる。通用するということは、どこにも刺さらないということです。
具体的な情報が入ると、選択が変わります。水温が低いと知っていれば、飛び込む前の一瞬のためらいが変わる。地域の人にとって当たり前の行為だと知っていれば、ためらいそのものがなくなる。
感性と知識は、対立しない
演劇は感性の分野だと思われがちです。
でも実際に稽古場で起きているのは、感性で行けるところまで行き、そこから知識で進むという往復です。どちらか一方では止まります。
感性だけだと、自分の中にあるものしか出せません。知識だけだと、頭で作ったものになる。両方が要ります。
調べる時間が足りていない
正直に言うと、これは私たちの課題でもあります。
稽古の時間は確保していますが、調べる時間は意識しないと確保されません。動いているほうが稽古をしている気になるので、机に向かう時間が後回しになりがちです。
止まって調べる時間も、稽古のうちだと考えるようにしています。
何かが伸び悩んでいるとき、それは技術の問題ではなく、知識が足りていないだけかもしれません。
劇団天文座|大阪・新大阪、毎日19時から22時まで稽古。「演劇は才能じゃない」を合言葉に活動しています。
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