自分の出番ではない場面で、どうしていればいいのか分からない。
初めて舞台に立つ人の多くがぶつかります。
隠れようとすると、目立つ
よくあるのはこの形です。
どうしたらいいか分からない。だから隠そうとする。
突っ込まれたくないので、動きを小さくする。
これが、いちばん目立ちます。
理由は簡単で、そこだけ他と質が違うからです。
場面全体が動いているなかで、一人だけ縮こまっている人がいると、
観客の目はそこへ行きます。
隠れようとする動きは、隠れる動きではありません。
存在感は「消す」ものではなく「量を選ぶ」もの
考え方を変える必要があります。
舞台の上に立っている以上、存在感をゼロにはできません。
できるのは、どのくらい出すかを選ぶことです。
これは高等技術です。世阿弥の能楽論から現代の注意研究まで、
繰り返し扱われてきた問題でもあります。
量を下げるための具体策
抽象的な話をしても使えないので、操作できるものを並べます。
1. 動きの速度を落とす
大きさではなく速度です。
小さく速い動きは目立ちます。大きくゆっくりした動きは目立ちません。
縮こまるのではなく、遅くしてください。
2. 視線を、いま焦点があるところへ渡す
観客の視線は演者の視線についてきます。
自分が別のところを見ていると、そこに新しい焦点ができてしまいます。
主役を見てください。全員が同じ方向を見ると、焦点はそちらに固まります。
逆に言えば、一人だけ違うところを見ると、それだけで目立てます。
使い分けです。
3. 膝を伸ばし切らない
立ったまま聞いている時間に、膝が伸び切ってロックされます。
ロックされると呼吸が浅くなり、肩が上がり、質感が周囲と変わります。
固まっている人は目立ちます。
10度から15度くらいで保ってください。
4. 呼吸を場面に合わせる
場面が速いのに自分だけゆっくり呼吸していると、浮きます。逆も同じです。
周囲と同じ速さで呼吸するだけで、かなり馴染みます。
逆に、出たいとき
同じレバーを反対に回します。
・速度を上げる
・視線を焦点から外す
・声の高さを上げる
全員が同じ方向を見ている中で、一人だけ外す。
これは強く効きます。
稽古での確かめ方
自分の出番ではない場面を録画して、音を消して見てください。
人物を目で追わずに、全体をぼんやり見ます。
そこで自分に目が行くなら、量が多すぎます。
目が行かないなら、成立しています。
まとめ
・隠れようとする動きは、隠れる動きではない
・存在感はゼロにできない。量を選ぶもの
・下げるレバーは、速度・視線・膝・呼吸
・上げるときは同じレバーを反対に回す
・確かめ方は、音を消した録画で自分に目が行くかどうか
劇団天文座は大阪・新大阪で毎日19時から22時まで稽古をしています。
年間10作品以上、100ステージ以上を上演しています。
団費は月1万円。稽古場代と指導料が入っていて、チケットノルマはありません。
音響・照明・演出・脚本・当日制作も、公演のたびに枠が空きます。
見学は随時受け付けています。お名前・年齢・性別・来られそうな日を
tenmonza@gmail.com までお送りください。
あわせて読みたい
・ 芝居が段取りに聞こえる理由|セリフの不安が予測を止めている
・ セリフを変えずに関係を変える方法|応答速度で書き分ける5段階
・ 相手のセリフを覚えていないと間は作れない|終端予測という仕組み