その男の稽古もいよいよ佳境。
俳優の育成フェーズから作品の形を整えるフェーズに移行した。
ここからは俳優の個の力を伸ばすのではなく
作品のクオリティを上げる事に集中する。
目下の課題として
俳優の意識の分散と、本物の感情を生み出す事。
また呼吸の使い方。身体の動き、五感の使い方。
普段無意識で影響を受けてる物を意識化する事。
一回の通し稽古
いや、一回のシーン稽古で
疲弊しきるくらいエネルギーの出力を大きくする。
命をかけて聞く、命をかけて話す。そこで生きてそこで死ぬぐらいの命の消耗を僕は見たい。
僕は演出家として俳優として
舞台に立っている俳優と命のやりとりがしたい。
うまくやる
ちゃんとやる
綺麗にやる。
失敗しない。
それに負けて欲しくない。
直澄の課題は
呼吸。軸をずらさない。相手役に合わせる芝居じゃなくて、相手役を無視してでも、紀一として生きる事。今日は悔しい事を思い出しながらしただろうか？まだまだいける。限界を決めるな。
ひょうかなの課題
技術に頼らない。集中力を絞る。視点を一つ下に下げる（演出家・脚本家の視点に現在はいる。）
どう見せる？じゃなくて何をする。心を動かし続ける。呼吸を使う。身体の軸をずらす、姿勢を崩す。綺麗すぎる。綺麗に整った物を見たいわけじゃない。醜くても、目的に必死になる所が見たい。
椿ちゃんの課題
俯瞰し過ぎてる。自分の事も周りのことも。踊ってる時は何も考えてない。僕の推察は、踊る事に集中してる。一つの事に集中し続けてる。（もちろんフリとか技術的なところは、意識の分散をしなくても無意識化で出来るからだけれども。）芝居の時は何に集中すべきか？代替者、思い出、相手の表情など、一つに絞ってみる。
ひかりんの課題
ひかりんも一つに絞る。集中するところを一つに絞る。姿勢はもっと徹底してほしい。勿体ない。首でやらない。ノンバーバルな所もまだまだ試せる。綺麗にやらない。ちゃんとしない。晴海の境遇に共感できる所はないだろうか？
イノちゃんの課題
やる事を決め過ぎない。未来と過去で芝居をしない。今目の前で起こってることを無視しない。否定しない。止めない。もっとサイズが大きくなる。自分の可能性を自分で否定しない。
『私なんて』そんな言葉で自分を閉じないでほしい。
明日はシーン稽古に戻って
また進める。
