稽古日誌

【稽古日誌】2021/6/28 喜多健介/容原静

⭐️稽古前
朝起きる前か、後か。妙に神経が働いて、今この瞬間を吸収する感覚が働く。バグです。

昨日の日誌等を再確認。改めて各自の課題等に頭を擡げる。今の課題と全体の課題を混同して自分自身が触れられる事象から答えを遠ざけない。整理と処理と接触等々全ては別事象で解決方法も違う。何事も整理整頓、そして一つずつ潰していく。両方の意識を背理にセットしながらリアルを切実かつ落ち着いて実行していく。書きながら思う。実に理想論。されど理想を如何にして現実と対比しながら現実を知り、それを行うか。

流れ作業を行う中で空気に乗ること、その中で何を更に推し進めるか。疲労と麻痺、神経を如何にして保つか。集中力の使い方。周りと自分に神経を配りながら、注意深く何をすべきかを思う。そして時には思い切り取るべきと心が動いたアクションを起こす。深い潜水と機敏とした動作。

7月4日を考える。セリフを覚えるのが昔から苦手だ。みんなで何度も読んでようやく感覚を掴める。いつだって博打。自分が同役の中では一番経験があるので、みんなの様子を見ながらうまく事が運ぶように勝負しやなと思う。一発勝負。はじめて舞台に立つ池田くんもいる。自分が基本的に始端でない。始まりを受けて如何に繋いでいくか。短期の出番で自分らしく如何に生命を賭けるのか。輝くため、燃えるため。短い尺。私たちのところで幅を取ってはいけない。主役が燃えて、伸びるようになる事態を考えれば与えられた尺で輝く事が求められる。好きなようにやったエネルギーを如何にして見出すか。私の真価が求められている。突っ走るしかないだろう。不安に溺れるか、突っ走るか。結果なんて単純だ。だから、曝け出してあとはお客さんに委ねますぐらいの姿勢に自然と導かればと思う。

■けいこー
⭐️体の状態
久しぶりに立ち仕事をしたので、足がぐわんぐわん。結構同じ姿勢で重たい荷物を運ぶので、身体のバランスが崩れていると思う。

⭐️アップ
7時まえに来たので発声を最低限する。声を出す時に身体に力が入るのを抜くことを意識している。また話しながら意識分散。自分の発声だけに囚われない。どんな姿勢からでも声を一番いい姿勢のときと遜色ないように出せるように試している。常に本番を意識することを忘れない。本番の為に手を抜けない。結構真面目にやることをサボろうとする癖があるので、自分自身で律すること。そして意固地にならないこと。
体幹は正直少ししんどかった。なんとかやりきった。
民衆の歌を歌う。大きな声を出すことに意識が向き過ぎている。出し過ぎて、出せないところが出ている。どうしても声を出そうとテンポを無視している。強がるな。出来ないことに向き合え。

⭐️マジカルバナナ
今日は頭の中がブラックホールだった。時折というか頭の中で考え過ぎて定着すると落とし穴にはまったように何もなくなるというか。二、三回前はうまく進められていたのだが、今日は違う設定で行うとついていけなかった。何かできると何か出来なくなる。頭でずっと誰が何かを考えている。それで時々ついていけていない。苦手意識がある。ぐわー。

⭐️数字飛ばし
視線を向けるが芝居等に自分自身活きていると感じている。何かを見つめること。見つめられること。そのことに意識が拡がっていく。

⭐️朗読録音
今日はいのちゃんとひかりちゃんに頼む。
いのちゃんは三回目、少し感情が入った。
ひかりちゃんはあまり微動がなかった。
これが二度目の録音。僕からは朗読するというよりセリフを言うようにお願いしますと頼んでいる。こういう収録は一度それなりのが撮れたら文句はないから、役者に色々と示唆して其々の発展にもう少し寄与すべき余地がある。反省。

⭐️エチュード
喜多祭り。一貫して導入で止まる。今日なぜこういう結果になったのか。昨日から日誌を書き始めたりしていることが影響している。一つ何か始めるとそれに心象が奪われる。今日はここまで日誌の視座で舞台に立っていた。なんて野郎だ。
心象を大きく重ねながら、成長するのか。何かに心を奪われている。最近よく思うのは自分は能力がある、考える力があることはわかったから、それを手放して無の状態で舞台に立ち、何かを建設することだ。そんなことは可能なのだろうか。今日はそれをやろうとしていたのかもしれない。そうすると私は自分の現在の武器を手放す。それで尚何を見つめるのか。新しい真理との闘いなのだ、これもまた。
何か非常に奥深いところに貧弱さが眠っている。私はこれによってひよっている部分がある。それに対して向き合いながら、如何にして道を切り開くか。道とは相手に対してアクションを起こす、相手のアクションを受け止めること。私らしく。さて、私らしくとは。今なすべきこと、やりたいと思うことをやること。本当にしたいことは何か。何を私は叫びたいか。叫び。俺の叫び。それだ。なんなんだ。何を防いでいる。護っている。忌避している。捌け。解き放て。生きたいままに生きようぜ。

⭐️シーン稽古
自分がどうしてエチュードでかき回さなかったか、当たりがついたのに加えていつも以上に演出家の立場で今日は臨む。
いのちゃん特訓稽古。一つ壁をのりこえた。もっと偉大になることは間違いなしだ。
彼女をみると我がふりを見直す。私はまだ明らかにしていない部分が多分にある。もっと変わることができる。それは私もだ。
曝け出すこと。それに意味があるわけではない。自ら引いた境界線を再度引き直すこと。今までを捨てること。そして今を生きること。