稽古の初期段階で、必ず直すことがあります。
台詞を言ってから動く 、という癖です。
多くの人が、無意識にこの順番になっています。「これ、渡しといて」と言ってから手を出す。「行こうか」と言ってから歩き出す。舞台の上ではこれが不自然に見えます。
日常では、体が先に動いている
考えてみてください。
誰かに「あれ取って」と言われたとき、あなたはどうしていますか。
たぶん、返事より先に体が動いています。手が伸びて、それから「はい」と言う。あるいは言わないこともある。
日常では、体が先で言葉が後です。判断は言語化される前に体に届いている。
だから舞台で言葉が先に出ると、見ている側は違和感を覚えます。理屈で分析しているわけではなく、順番が日常と逆だから不自然に感じる。
なぜ逆になるのか
原因は、台本があるからです。
台詞を覚えていると、まず言葉が浮かびます。言葉が浮かんだから言う。そのあとで「動きもつけなきゃ」と思い出して動く。
つまり、台本の順番で体が動いてしまっている。実際の人間は台本を持っていないので、こうはなりません。
直し方
やり方は単純です。動いてから話すと決めるだけ。
ただし、決めただけでは変わりません。台詞が浮かんだ瞬間に口が動くのは、かなり強い癖だからです。
私たちが稽古でやるのは、動きだけを先に通すことです。台詞を言わずに、その場面の動きだけを最後までやる。体が段取りを覚えてから、言葉を乗せる。
順番を逆にして固めてしまうと、あとから直すのは大変です。だから初期にやります。
話す前に、体は決めている
この話は、演技だけの話ではないと思っています。
人の判断は、言語化される前に体に出ています。会議で反対したいとき、口を開く前に姿勢が動いている。断りたいとき、声より先に視線が外れている。
だから言葉と体が食い違っている人は、すぐに分かります。口では賛成と言いながら、体が引いている。
逆に言えば、体を先に決めておくと、言葉は勝手についてきます。
何かを伝えたい場面で、あなたは言葉から入りますか。それとも体から入りますか。
劇団天文座|大阪・新大阪、毎日19時から22時まで稽古。稽古の様子はYouTubeでも配信しています。
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