稽古日誌

【稽古日誌】2021/7/15 喜多健介/容原静

稽古前
今日は落ち着いている。自分に寄り添っている。
週単位、月単位で感情が流れている。昨日何か新しい要素を手に入れたから、週単位では新しい課題を見つけることになるだろう。
演出をそろそろ考えていく。誰に役を任せるか。誰と戦って行くか。感じる。
役作りはまだ出来ない。まだ自分の中でそのフェーズがうまく見えていない。自分のアクションが始まらない。
自分が透けて見え始めている。自分に素直になること。

稽古
アップ
時間を使って台本を読む。台本はなかなか読めない。読める時間を自分で作る。
何か与えられたモノに沿ってしまうところがある。今はそこに意識を使っているから、その意識を活かす。将来的には破壊したい感覚。
人の行動や言葉や反応が台本と絡まれていく。台本に新しい密が生まれる。私はどんどん挑戦すべきだ。
肩の力を抜くこと。常にただ生きていること。私のまま言葉を出すこと。呼吸すること。
自分自身を信じなさい。周りを信じなさい。言葉なくともそうなりますように。

マジカルバナナ
今日は呼吸そのままにいく。いけそうだ。聡生さんがアクションをしてきた時にどうしても驚く。呼吸に寄り添うでも色々あるんだろう。

数字飛ばし
周りが見えない。見ること以外に何が関与しているか。
早く飛ばす、時間制限あり。飛ばすことと見ることとが連動しない。感覚の接合という単位に於いて鍛える余地がある。

朗読
ひかりちゃんは積み上げられていっている。今後も積み上げて、層厚く、情意が蜃気楼な俳優になって欲しい。僕のイメージする最高の存在、『空を歩く彼女の蜃気楼』になれる逸材だ。ひかりかがやけよ。名前の通りにな。
椿ちゃんは聴く体勢の上で言葉を伺う体勢。言葉を引きずりだす体勢で人に意見を聞いて欲しい。此れは僕の誤解か? その人が何かなんてわからないし。人間観察なんてわかんねぇから。
もっと傍若無人で全てぶち壊して自分の論理で生きられる力を持っている女性だと想う。舞台関係ではそれぐらいしてもええんやで。怪我をしない、させないことだけは護りながら、ね。自分の論理に芝居を従わせるぐらいしていい。そこで芝居の方が反発するなら闘える逸材だと思っている。僕の誤解でなければいいのだが。
二人の良いところは人と関係を結べるところにあると想う。二人にやってほしいこと、舞台上で自分の想いをぶちかまして胸を張ることを二人よりも先に出来た人間もいるかもしれない、世の中にはね。自分の論理で生きていく、傍若無人さ。ただ二人は人の関係を護り大切にしながら、その重みを知りながら敢えてそれを無視することができる。それは凄く疲れてしんどいこと。でもだからこそ、何かを虐げたり傷つけることはその痛みの重さを知る人間にこそやってほしい。人は傷つかずにはいられないからこそ、その痛みを抱き締める人間ならば、抱き締めることができる。ただ傷つけてほったらかしになんてしないから。
優しくあるために、武器を振れ。優しくなれない人間が武器を振っているのだから。
期待して、希望しています。
勝手にね。

アクションエチュード
広瀬さんは好印象な方なので、殺す、意地悪するではなくまだただ眺めることしかできない。人との接し方、思い方でやれることは決まってくる。どうしても自分という単位で最初から行為しやすいしにくい等色々なバランスが造られる。広瀬さんからアクションをしてきたが、絡ませるという感覚からすれば未然に終わった。その時によって違うが、対面したひとの巡りが動くことを私は狙っている。
また何かをしようという感覚が残っている。舞台上でただ呼吸するひとでいたい。色々な行動をしたい。無理していたり繕っている部分を破壊したい。深く沈むこと。深く生きてること。呼吸。
りゅうとさんとは紙をめくった言葉を言いながらするエチュード。自分自身が奇妙というか歪みを作る感覚を開いているため、そこに出てきた言葉が自分の中にない言葉ゆえに笑いが止まらない。面白すぎる。ゲラの性分。しかし、ということはそれを舞台で活かすこともできるのだ。遠いところでボーとしている僕を舞台まで招き寄せたい。
やりやすいお題とそうではないお題。みんなのことをもっと愛できたら、アプローチの方法も変わると思った。色々なことを愛することも僕が舞台で出来ること。

公演稽古
今日はポケーとそのままでやる。手離してやること。台本ありは容易でだめ。マジカルバナナ等で生かしてる感覚でセリフを出す、此れはただ台詞を読むだけではいるかな。
色々な要素があって、芝居ができる。本番までに何ができるか。何をこの舞台でできるかだろう。
役者として、今回の舞台の役で何をやりたいか。徹底的に汚い人間、自分のことに溺れて必死になってしまった人間が想像だにしない災害を受けた時の反応との落差を魅せる。僕がお客さんなら、愛するか嫌悪するか、同情するか。それを描き切りたいと思っている。どうしてそうするんだろう。一つのパーツ、芝居のパーツとして大まかに見える始まる前の段階として目に浮かぶ想像だ。本番始まってからは変わるよ、もちろん。動いていく。
演出としては今の段階としては、光ないからこそ、それでも光を届けたい。今はまだ曖昧なのでここから具体的にしていく。関わるモノ全てがコミュニケーション、それぞれの仕事を果たして、争った先にある答えと出逢いたい。

そのた
広瀬さんは明るくて場を盛り上げる。良い俳優さんだ。稽古を一緒にできるようになって幸運だ。もっと色々と知って知られて良い舞台を共に。

昔よりもナチュラルに近づいているが、まだまだ閉じている感覚がある。どんどんと拓いていきたい。素直になりたい。