コラム

コラム③「座長、森本聡生とはパート②」

おはようございます!長期連載企画「天文座の歩み」

第三回目の今回は、この記事の執筆者であり、劇団天文座の座長、森本聡生について振り返っていきます。

僕が何故、演劇を始めたか。そして、今、演劇を続けているのか。

今回は高校時代編パート②「地区大会でブチギレられる」編をお届けします!

地区大会とは?

  • 高校演劇部の甲子園
  • 高校演劇連盟に加入することが参加資格
  • 地区ごとにグループ分けをして、最優秀賞を決める
  • 最優秀に選ばれた地区の代表が集まって府大会がある。
  • 府大会の上位が近畿大会に進む
  • 近畿大会の上位が全国大会に進む

まぁ、スポーツと違って、演劇っていうのは採点方法が不明瞭なので

なぜ勝ったか、なぜ負けたかがわからない世界ではあります。

結局の所、審査員の好みなのでは?と思ってしまいますが。

競技ではなくてあくまで演劇なので、致し方ないと思います。

さて、前回の演劇に出会う編に引き続いて、今回は地区大会編

何度か、部活に顔を出して、お芝居を観ていました。

かといって、照明がどんな仕事をするのか全くわかりませんでした。

そんな時、顧問の先生が一冊の本を渡してくれました。

ザ・スタッフ

演劇部経験者なら一度は見たことがあるはず!

そう!この本を読めと!顧問の先生に言われました!

読みました!

はい!さっぱりわかりませんでした。

とりあえず、なんか、キューを考えるんだよね。

あかり作りとか、照明の種類とか

フェーダーとかなんとなくの基本単語は覚えました。

途中で一つの疑問が生まれました。

「あれ?俺、お手伝いだよね?ってことは流石に明かり作りとかじゃないよね?」

それはそうです!お手伝いですから!演劇のこと知らないし!

ってなわけで、本番一週間前のリハーサルの日がやってきました!

この頃には部員の皆さんとも打ち解けていたと思うので

一人気楽に駄弁って会場まで行ってました!

会場に着いてリハーサルが始まって

でも、この時は顧問の先生が照明卓を触っていたので

森本の出番なし!

なーんだやっぱりお手伝いだもんね。

っと安心していました。

リハーサルというよりは、会場稽古でしたね。

そうして遂に本番!

舞台装置を部室から運び出して、赤帽さんに積み込み!

はい、きました!力作業!男森本の出番だ!

と意気込みましたが、

普段から、基礎練で筋トレしている女の子達の方が

テキパキと動いていて、重たいものもガンガン運び込んでいました!

かくいう森本は、最初の大道具を部室から下ろした時点で

息も絶え絶えに!

これまで運動してこなかった、引きこもりオタクには荷が重たい!

荷下ろしだけに荷が重いってか?

失礼しました。

さて、いよいよコンクール本番です。

顧問の先生から、きっかけ表と、シーン明かりのフェーダー表を貰いました。

「稽古で見てたからどのシーンかわかると思うから、お願いね。」

とのこと。

流石顧問の先生!そのために稽古を見るようにって言ってたんだ!

シーンのことだけじゃなくて、セリフだって半分くらいは覚えていますとも!

大船に乗ったつもりで森本に任せてください!

余裕ぶっこいていました。

遂に本番直前!照明卓に上がる森本。

そこには可愛らしい女の子が。

どゆこと?

っと思いましたが、大会の実行委員さんでした。

舞台の方を見ると、何やら照明バトンが下まで降りている。

確か、会場はプール女学院さんだったはず!

女子校に単独潜入したスネーク(メタルギアソリッド)のような気持ちでしたね。

(段ボールに隠れたりして遊んでました。)

広くて綺麗なホール。

舞台の上には、各校の顧問の先生が集まっている。

何してんのかなーって思ったけど

どうやら照明の角度を合わせている様子。

あー確か本に書いていたなぁ。とかぼんやり見ていました。

ちなみに、顧問の先生とスムーズにやりとりするために

インカムを耳に付けていました。

気分は完全にメタリギアソリッドでした。

その時、顧問の先生から指令が!

「もっちゃん!地明かりあげて!」

緊急指令だ。

地明かりを上げる!

なるほど!

地明かりってのはアレだよな

舞台を照らす、ベーシックな照明だよな!

うん、わかるぞ!

わかるんだが

どのフェーダーなんだ?

わからない!大ピンチ!

汗が止まらない!

実行委員さんに聞くか?

待てよ?見知らぬ女の子に話しかける勇気が当時の森本にはなかった。

どうする?どうするんだ?俺!

っと焦っている間に、もう一度指令が

「地明かりあげて!もっちゃん、早く」

なんと、ミッション達成の催促が!

しかし、わからない!どれだ!どれが地明かりなんだ!

その時、顧問の先生からもらった表を見て

それを頼りに地明かりを導く作戦に変更!

頭の中のスーパーコンピュータ「京」を作動!

よし!これだ!これで間違いはない!

意を決して、フェーダーを上げる!

ミッションコンプリート!

・・・・・・・

がしかし、舞台を確認すると

明かりがついていたのは、「シーリング」でした。

ガッデム!オーマイゴッド!

いや、地明かりなんてわからんし!番号で言うてくれ番号で!

ピピピっ!顧問からの怒りの指令が到着!

「地明かりやろ!それシーリングや!」

もうね、適当にあげましたよね。

でも全部はずれ

ホリゾント(後ろの白い壁)が紫になってたもん。

遂に、顧問ブチギレ!

インカムを使わず、舞台の方から照明卓を睨みつけて

「だから地明かりつけろ言うてるやろー!!」

演劇部の顧問ってすげー!

めっちゃ声出るじゃん!感心していました。

もうパニック!

その声を聞いた、実行委員さんが地明かりを教えてくれて事なきを得ました。

が、本番前に、森本のメンタルはブレイク!

マインドクラッシュしてましたが。

本番で失敗したら殺されると思ったので

1時間フルマックスの集中で照明に取り組みました。

「とほほ〜なんで休み使ってまでお手伝いに来てるのに、こんな怒られなあかんねん」

内心ずっとそう思っていました。

無事ノーミスで本番終了!

役目が終わった。胸を撫で下ろしました。

楽屋に帰ってくると顧問の先生が

「ごめんなぁ、番号で言うたらよかったよなぁ」

と呑気な声で

はい!番号で言うてもろたら一発でした!

なんて言い返す気力もなく。結果発表へ。

照明に全集中していたものの、舞台の様子も見ていました。

正直言って、面白かったです。

判定基準はわからないけど

え、ここで勝ったら府大会でもう一回できるって。

あーそれはもう一回観てみたいなぁっと純粋に思ってました。

結果は最優秀

見事府大会への切符を手に入れたのでした。

あれ?みんな泣いてる?

他の学校の人も?

そんな大切な戦いだったんだ。

この時、初めて最優秀の凄みと重み、責任を痛感しました。

「府大会は、もっと会場広いから」っと部長に言われました。

あーまた怒られるんかなぁと想いながらも

ドキドキしている自分がいました。

府大会に勝ったら近畿大会がある

近畿大会に勝ったら全国大会に行ける。

こりゃ全国優勝するしかないで!っと思っていました。

今まで、部活とか勝負事とか、真剣に何かに取り組むことから

逃げていた自分の中で何かが大きく変わった瞬間でした。

次回、高校時代編パート③「案の定!府大会でも顧問にブチギレられる!」

お楽しみに!